◆ 温泉地概要|岩木山の中腹に湧く、秘湯感あふれる癒やしの湯処

嶽温泉(だけおんせん)は、青森県弘前市の西部、津軽地方の名峰岩木山(標高1,625m)の中腹・標高約500m地点に広がる小さな温泉地です。温泉街の規模はこぢんまりとしていますが、その分自然との距離が近く、素朴で静かな時間が流れる癒しのエリアとして根強い人気を誇ります。

百沢温泉と並んで岩木山信仰とともに発展してきた歴史を持ち、地元の人々からも「身体が温まる湯」「疲れがとれる湯」として親しまれています。


◆ 歴史|信仰登山とともに歩んできた素朴な湯治場

嶽温泉の起源は江戸時代以前にさかのぼるとされ、岩木山の山岳信仰と密接に結びついた湯治場として発展してきました。百沢温泉に比べてより山に近く、登拝者や修験者が山登りの前後に身体を癒す場として重宝された歴史があります。

明治以降は登山ブームや避暑地としての人気も高まり、いくつかの温泉宿が軒を連ねるように。現在もその面影を色濃く残しており、秘湯ファンや静かな温泉を求める旅行者に愛される温泉地となっています。


◆ 泉質と効能|硫黄香る濃厚な湯が全身を包み込む

嶽温泉の最大の特徴は、白濁した硫黄泉。強めの硫黄臭と濃厚な成分を含む湯は、湯上がり後も身体の芯から温かく、高い温熱効果と美肌効果が期待できるとして評判です。

泉質情報(源泉により多少異なる)

  • 泉質:硫黄泉(単純硫黄泉または硫化水素型)
  • 湧出温度:50~60℃
  • pH値:弱酸性~中性
  • 色・香り:白濁色、硫黄臭あり

効能(適応症)

  • 神経痛・筋肉痛・関節痛
  • 慢性皮膚病・慢性婦人病
  • 糖尿病・動脈硬化症
  • 冷え性・疲労回復・美肌

刺激が少なく、老若男女問わず入浴できる泉質でありながら、効果の高さが特徴です。肌あたりの柔らかさと持続する温かさは一度入ると忘れられないと評されます。


◆ 日帰り温泉施設|気軽に立ち寄れる湯処もあり

嶽温泉には日帰り入浴が可能な施設がいくつかあり、ドライブや登山の帰りに立ち寄れる手軽さも魅力です。

主な日帰り入浴施設

嶽温泉 小島旅館

  • 【営業時間】11:00~15:00(要確認)
  • 【入浴料】大人 400円前後
  • 【特徴】湯治場風情あふれる素朴な宿。浴室から岩木山の山肌を望める。

※営業日・時間は季節や天候により変更される場合がありますので、訪問前の確認をおすすめします。


◆ 周辺観光地|温泉と一緒に楽しめる、岩木山エリアの魅力

  • 岩木山スカイライン(車で約5分):22のカーブを越えて8合目へ。ドライブしながらの絶景体験が人気。
  • 岩木山リフト(スカイライン8合目から):9合目まで一気にアクセスでき、登山初心者にも好評。
  • 岩木山神社(車で15分):津軽信仰の中心。壮麗な社殿が自然と調和する東北屈指の神社。
  • 嶽きみ(とうもろこし)直売所(夏〜秋):糖度が高く全国的に有名なとうもろこし。秋の味覚として不動の人気。
  • 弘前市中心部(車で約45分):弘前城・旧図書館・カフェ文化が融合する、青森観光の拠点。

◆ アクセス方法|市街地からもアクセスしやすい秘湯

  • 住所:青森県弘前市常盤野字湯の沢
  • 車利用
    • 東北自動車道「大鰐弘前IC」から約70分
    • JR弘前駅から約45分(国道3号→県道経由)
  • 公共交通
    • 弘前バスターミナルから「嶽温泉行き」バス(所要約1時間)
    • 「嶽温泉」下車、徒歩すぐ

※冬季は積雪による通行規制あり。スタッドレスタイヤ必須、天候によるバス運休に注意。


◆ まとめ|津軽富士の懐で心と体を解きほぐす、極上の癒やし体験

嶽温泉は、豊かな自然と歴史、そして濃厚な湯の力が三位一体となった、まさに“津軽の秘湯”です。派手さはなくとも、訪れた人々の心を静かに解きほぐし、日常の疲れを癒してくれる温泉地。その素朴さこそが、嶽温泉最大の魅力と言えるでしょう。

観光・登山・信仰の旅の合間に、または心と体を整えたい週末旅行に。青森・弘前エリアを訪れるなら、一度は浸かってほしい湯があります――それが、嶽温泉です。