北海道東部・釧路市を中心に広がる「釧路湿原」は、日本最大の面積を誇る湿地帯。手つかずの大自然の中に、多様な動植物が息づき、四季折々に美しい表情を見せてくれます。

本記事では、釧路湿原の魅力を、観光地としての概要、歴史、見どころ、周辺観光・温泉、アクセス、注意点まで詳しくご紹介します。これから北海道・道東エリアを旅する方、自然の中でゆっくり過ごしたい方にぴったりの内容です。


観光地概要|日本一の面積を誇る“生きた湿地”

釧路湿原(くしろしつげん)は、北海道釧路市・釧路町・鶴居村・標茶町にまたがる、総面積約22,070ヘクタールの国立公園(釧路湿原国立公園)です。

  • 登録:1987年ラムサール条約(国際的に重要な湿地)
  • 面積:約220㎢(東京23区の約1.1倍)
  • 特徴:川・沼・湿地・原野・森林など多様な環境が共存

この広大な湿原には、日本で唯一野生のタンチョウが生息しており、エゾシカ、キタキツネ、オジロワシなども姿を見せます。まさに「野生と出会える自然の楽園」といえるでしょう。


歴史|開発と保護のはざまで守られてきた自然

釧路湿原は、かつては開発の対象とされ、農地や宅地としての利用が検討された時期もありました。しかし、1970年代から湿原の重要性が見直され、自然保護の声が高まりました。

1987年にはラムサール条約登録、そして国立公園に指定され、以後は湿原の保全と観光との共存が進められています。湿原の役割は「炭素の貯蔵」「水質浄化」「動植物の生息地」など多岐にわたり、地球環境保全の観点でも重要なエリアです。


見どころ|釧路湿原でしか味わえない体験の数々

釧路湿原では、さまざまな視点から自然を楽しむことができます。

◎ 展望台巡り(湿原を上から見渡す)

◆ 釧路市湿原展望台(釧路市北斗)

  • 湿原を代表する展望台。立体的な遊歩道あり。
  • 館内には展示室・売店・カフェも併設。
  • 周遊コース:約2.5km(約50分)

◆ 細岡展望台(標茶町)

  • JR釧網本線「細岡駅」徒歩圏。雄大な湿原と蛇行する釧路川を一望。

◆ コッタロ湿原展望台(鶴居村)

  • 静かな環境でのんびり自然を楽しみたい人向け。

◎ カヌーツアー(湿原を水面から体感)

  • 釧路川をゆったり下る約2時間のツアーが人気
  • 野鳥観察、エゾシカの姿に出会えることも
  • ガイド付きで安全に楽しめるため、初心者にもおすすめ

◎ 冬のタンチョウ観察(12月〜2月)

  • 鶴見台(鶴居村)や丹頂鶴自然公園では、越冬するタンチョウを間近で観察可能
  • 凍った湿原と舞う鶴の姿はまさに幻想的

周辺観光地・温泉|自然のあとに癒しをプラス

◎ 阿寒湖温泉(車で約1時間30分)

  • 硫黄泉が湧く湖畔の温泉地
  • アイヌ文化体験も楽しめる「アイヌコタン」併設
  • マリモの展示・販売もあり

◎ 鶴居温泉(車で約40分)

  • 湿原観光の帰りに立ち寄れる穴場温泉
  • しっとりとした炭酸水素塩泉で美肌効果あり
  • タンチョウ観察地のすぐ近く

◎ 釧路市内観光(車で約20〜30分)

  • 釧路和商市場(勝手丼体験)
  • 釧路フィッシャーマンズワーフMOO(港湾観光施設)
  • 夕日スポット「幣舞橋」

アクセス方法|拠点は釧路市内、空港・鉄道ともに便利

◆ 飛行機

  • 東京(羽田)→ 釧路空港:約1時間40分
  • 釧路空港 → 釧路市街地:約30分(車)
  • 空港〜市内は路線バスあり

◆ JR

  • JR釧網本線「釧路駅」または「細岡駅」など利用
  • 展望台やカヌーツアーの拠点までアクセス可能

◆ 車(レンタカー推奨)

  • 釧路市街から釧路湿原展望台:約20分
  • 細岡展望台:約40分
  • 鶴居村方面:約45分

※複数のエリアを周遊するならレンタカー利用が効率的です。


注意点|自然と向き合うためのマナーと準備

  1. 野生動物との距離を守る
     → エゾシカやキタキツネへの餌付けは禁止。写真撮影もフラッシュNG。
  2. 服装・装備に注意
     → 夏は虫が多いため、長袖・虫よけスプレー必須。冬は防寒対策を万全に。
  3. ヒグマ出没情報を確認
     → 特に夏〜秋はヒグマの活動が活発。展望台や遊歩道の掲示をチェック。
  4. 冬季閉鎖エリアあり
     → 展望台や遊歩道は冬季閉鎖される場所も。事前に開放状況を調べることが大切。

まとめ|釧路湿原は“北海道の原風景”と出会える場所

釧路湿原は、ただの自然景勝地ではありません。そこには、太古のままの景観と、野生動物、そして人と自然の共生の歴史が息づいています。

展望台から眺めるパノラマも良し。カヌーで川を下るのも良し。タンチョウの舞う冬に訪れるのもまた一興です。北海道・道東を訪れるなら、この雄大な湿原を体感せずに帰るのはもったいない!

知床や阿寒湖、摩周湖と並び、道東観光の“核”ともいえる釧路湿原。ぜひその魅力を、五感で味わってみてください。