北海道函館市の元町・西部地区は、幕末から明治にかけて日本が開国し、西洋文化を取り入れ始めた時代の面影を色濃く残す歴史地区です。特にこのエリアには、異なる宗派の教会が並び立ち、異国情緒あふれる街並みと静謐な空気が、国内外の観光客を惹きつけています。
この記事では、元町・西部地区に点在する代表的な教会群を中心に、その歴史や見どころ、周辺観光スポット、アクセス方法などをわかりやすく紹介します。
■ 観光地概要|異文化が融合した“祈りの街”
函館の元町・西部地区は、1859年の開港とともに外国人居留地が設置された地域であり、西洋建築や宗教施設が次々と建てられました。これにより、カトリック、ロシア正教、プロテスタントといった異なる宗教が共存する稀有な風景が形成され、現在も大切に保存・活用されています。
教会だけでなく、石畳の坂道や洋館、旧領事館などが点在し、まるでヨーロッパの小都市を訪れたかのような趣が味わえます。
■ 歴史|日本におけるキリスト教再興の足跡
幕末の開港により、欧米諸国との交流が始まった函館。居留地として整備された元町には、宣教師たちによる布教活動とともに教会建設が進みました。
- 1860年頃:ロシア領事館に付属する形でハリストス正教会設立
- 1877年:カトリック元町教会設立
- 1874年:プロテスタント系の函館聖ヨハネ教会設立
これらの教会は大火や戦争を経て現在の姿に再建・保存されており、日本におけるキリスト教文化の貴重な証言者でもあります。
■ 見どころ|それぞれの教会が持つ個性と魅力
● カトリック元町教会
- 創建:1877年(現在の建物は1924年築)
- 特徴:ローマ風バロック様式の白い外観と、尖塔が印象的
- 見どころ:内部の祭壇はローマ教皇から贈られたもの
- 住所:函館市元町15-30
● ハリストス正教会(函館ハリストス正教会)
- 創建:1860年(現教会は1916年築)
- 特徴:玉ねぎ型の屋根が特徴のビザンティン様式
- 見どころ:国の重要文化財。鐘の音色は「日本の音風景100選」に選出
- 住所:函館市元町3-13
● 函館聖ヨハネ教会(日本聖公会)
- 創建:1874年(現教会は1979年築)
- 特徴:正面から見ると十字架型に見えるユニークな現代建築
- 見どころ:ステンドグラスと礼拝堂のシンプルな美しさ
- 住所:函館市元町3-23
これらの教会は徒歩圏内にあり、坂道と石畳に沿って巡る散策コースとしても人気です。
■ 周辺観光地・温泉スポット
● 元町公園
- 開港記念館や旧北海道庁函館支庁庁舎などがある
- 公園からは函館港を一望できる絶景スポット
● 八幡坂・チャチャ登り
- 教会群の背後にある美しい坂道
- ドラマやCM撮影のロケ地としても有名
● 金森赤レンガ倉庫(徒歩約10分)
- 海沿いのショッピングエリア
- 函館グルメやスイーツを堪能できる
● 湯の川温泉(車で約20分)
- 函館市街地に近い温泉郷
- 源泉かけ流しの宿泊施設や日帰り温泉が多数
■ アクセス方法|市電と徒歩でゆったり巡るのが王道
● 公共交通機関
- JR函館駅から市電「十字街」下車 → 徒歩5分
- 函館空港から車で約25分
- 新函館北斗駅からシャトルバス・在来線乗り継ぎで約1時間
● 徒歩観光がおすすめ
- 教会群の距離が近く、散策向きの観光エリア
- すべての教会を巡るのに必要な時間:約1.5時間
■ 注意点|観光マナーと服装に注意を
- 教会は現役の礼拝施設のため、静粛な見学を心がけましょう
- 一部教会では撮影禁止や内部立入制限あり
- 坂が多いため、歩きやすい靴・服装で訪問するのがおすすめ
- 冬季は路面が凍結するため、滑り止め付きの靴を推奨
■ まとめ|函館元町は“祈りと文化が息づく街並み”
函館の元町・西部地区にある教会群は、日本における西洋文化受容の象徴であり、今なお多くの人々の信仰と生活に寄り添う存在です。歴史的背景と美しい建築、静かな祈りの空間がひとつになり、訪れる者に深い感動と癒しを与えてくれます。
函館を訪れるなら、ぜひこの教会群を巡り、幕末から続く多文化共存の風景を体感してみてください。心が澄み渡るような、特別なひとときが待っています。
📌 参考リンク|函館市公式観光情報サイト
👉 https://www.hakobura.jp