青森県八戸市の東部、太平洋に面した「種差海岸(たねさしかいがん)」は、芝生と岩礁、白砂と松林が連なる日本屈指の美しい海岸線です。ここは三陸復興国立公園に指定されており、四季折々に変化する風景とともに、散策や自然観察、写真撮影、リラクゼーションまで、多様な楽しみ方ができる観光スポットです。
今回は、この種差海岸の魅力を「観光地概要」「歴史」「見どころ」「周辺観光地」「アクセス方法」などの視点から詳しくご紹介します。
観光地概要:芝生と海が出会う、稀有な海岸
種差海岸の最大の特徴は、海岸沿いに広がる天然芝生。潮風に吹かれながら、目の前にはどこまでも続く海と、足元には青々とした芝生が広がる光景は、国内外の旅行者を魅了しています。
この芝生地帯は「種差天然芝生地」と呼ばれ、自然が生み出したままの状態で今も守られている希少な環境。訪れる人々は、靴を脱いで芝の上を歩いたり、寝転んで読書や昼寝を楽しんだりと、それぞれの時間を思い思いに過ごしています。
また、海岸線は約5kmにわたり、散策路「種差海岸遊歩道」が整備されており、海と緑、岩礁、松林が一体となった風景を楽しみながら、気軽にウォーキングができます。
歴史:人と自然の共存の記録
種差海岸は、古くから八戸の人々にとって生活と信仰の場でした。縄文時代の遺跡が近くに存在していることからも、人がこの地で自然と共に暮らしてきた痕跡がうかがえます。
江戸時代以降は、漁業と馬の放牧地として利用されてきました。特に天然芝地は、馬の放牧に最適な環境として重宝され、現在でもその風景はどこか牧歌的な趣を残しています。
また、近代以降の環境保全運動によって、開発の波から守られ、現在では三陸復興国立公園の一部として国によって保護・管理されています。
見どころ:五感で楽しむ種差の風景
■ 天然芝生地
約1万3000平方メートルにもおよぶ草原は、まるでヨーロッパの海岸を思わせる風景。春から秋にかけては高山植物や野の花が咲き、季節ごとに異なる美しさを見せてくれます。
■ 種差海岸インフォメーションセンター
種差海岸の自然や動植物について学べる施設。休憩スペースや展示コーナーがあり、散策の前後に立ち寄るのに最適。最新の天気・潮流情報などもチェックできます。
■ 中須賀
荒波が打ち寄せる岩礁地帯。長い年月をかけて波に削られた奇岩や断崖は、ダイナミックな自然の造形美を感じさせます。フォトスポットとしても人気。
■ 葦毛崎展望台(あしげざきてんぼうだい)
遊歩道の北端に位置する展望台。眼下には太平洋の雄大な風景が広がり、特に日の出の時間帯には幻想的な景観が広がります。
周辺観光地:セットで楽しめる名所たち
■ 蕪島神社(かぶしまじんじゃ)
ウミネコの繁殖地としても有名な神社。4月から8月には、数千羽のウミネコが社殿の屋根や岩場に集まり、圧倒的な迫力を体験できます。縁結び・海上安全のご利益も。
■ 八食センター(八戸市街地/車で約30分)
新鮮な魚介や郷土料理を味わえる大型市場。その場で購入した魚を焼いて食べられる「七厘村」が人気。海の幸を味わいたい方におすすめ。
■ 白浜海水浴場(車で約20分)
夏には地元住民や観光客でにぎわう、八戸市内の人気ビーチ。比較的波が穏やかで、家族連れにもおすすめです。
■ 葦毛崎~大須賀間の遊歩道
全長約5.2km、アップダウンも少なく、初心者でも気軽にトレッキングを楽しめるコース。途中にはベンチや展望ポイントも整備され、四季の風景を満喫できます。
アクセス方法
■ 公共交通機関
- JR八戸線「種差海岸駅」下車、徒歩約5分
- JR八戸駅から種差海岸駅までは約45分(八戸線)
※観光シーズンには臨時バスや「うみねこ号」(観光バス)も運行されます。
■ 車利用
- 東北自動車道「八戸IC」から約40分
- 市街地から県道1号経由で約30〜40分
無料駐車場完備(種差海岸観光案内所/インフォメーションセンター周辺)
注意点
- 芝生や自然保護区域では、立ち入り制限やマナーの遵守が求められます(ドローン飛行や火気使用は禁止)。
- 海辺の散策は風が強いことが多いため、防寒着や風よけの上着があると安心です。
- 冬季は積雪は少ないものの、路面凍結などには注意が必要です。
まとめ:自然と一体になる感覚を味わえる、種差海岸の旅
種差海岸は、他にはない「芝生の海岸」という独自の風景が魅力。自然、歴史、静けさ、そして人々の営みが織りなすこの場所は、ただの絶景スポットではなく、訪れる人の心を癒し、思索の時間を与えてくれるような、特別な場所です。
ゆったりとした時間を求めて、自然と向き合う旅をしたいとき。次の休日には、ぜひ青森県八戸市の種差海岸へ出かけてみてはいかがでしょうか。