縄文時代」と聞いて、どんな風景を思い浮かべますか?土器や土偶、竪穴住居といったイメージはあっても、なかなか具体的な生活の様子までは想像しにくいものです。

青森県八戸市にある「是川縄文館(これかわじょうもんかん)」は、そんな縄文の暮らしを、考古学的資料と最新の展示演出で生き生きと伝えてくれる施設です。国宝「合掌土偶」をはじめとする貴重な遺物を間近で見られるだけでなく、アプリ音声ガイドやボランティア解説、体験学習なども充実しており、大人から子どもまで楽しめる“縄文文化の入口”として高く評価されています。

この記事では、是川縄文館の歴史、見どころ、利用情報、アクセス、周辺観光地まで、詳しくご紹介します。


観光地概要:国宝「合掌土偶」と出会える知的観光スポット

是川縄文館は、八戸市郊外の是川地区に位置する市立の考古学系博物館で、是川遺跡群から出土した多数の縄文遺物を展示しています。特に有名なのが、国宝に指定された「合掌土偶(がっしょうどぐう)」。合掌するように手を合わせ、座った姿勢をとるこの土偶は、縄文人の精神性や造形力を象徴する日本有数の考古学的傑作です。

建物は木材とガラスを活かした落ち着きあるデザインで、館内はバリアフリー対応も完備。展示室・体験室・ミュージアムショップ・カフェを備えており、雨天時の観光にもぴったりな施設です。


歴史:中居遺跡・是川石器時代遺跡の宝庫

是川縄文館が扱う資料の多くは、中居遺跡・是川石器時代遺跡と呼ばれる、縄文時代中期〜後期の遺跡群から出土したものです。これらの遺跡では、住居跡、貝塚、土器、土偶、骨角器などが数多く発掘され、縄文人の複雑な生活様式や信仰の姿が浮かび上がってきました。

中でも合掌土偶は1959年に発見されたもので、保存状態が非常によく、2014年には国宝指定を受けました。現在では青森県が誇る“縄文文化の象徴”として、多くの人々に親しまれています。

なお、是川石器時代遺跡と中居遺跡の見学は現在整備工事中のため、現地では観覧できません。展示室での資料閲覧を中心に楽しみましょう。


見どころ:五感で感じる縄文の世界

■ 国宝 合掌土偶

高さ19.8cm、膝を立てて座り、両手を合わせたその姿は、縄文人の精神文化を物語る“祈りの造形”。展示室では360度からの観覧が可能で、精緻なディテールや使用された焼成技術を間近で確認できます。

■ 常設展示室

出土した土器や装身具、石器などがテーマごとに分類展示され、縄文人の食生活・道具づかい・信仰・暮らしぶりが分かりやすく学べます。映像コンテンツや復元模型もあり、解説アプリ(無料)によるナビゲーションも利用可能です。

■ 体験学習室

定期的に開催される土器作りや火起こし体験、勾玉づくりなどのワークショップは、親子連れに人気。イベント日程は公式サイトで確認できます。

■ ミュージアムショップ&カフェ

合掌土偶グッズや書籍、八戸の工芸品などが揃ったショップ。カフェでは縄文モチーフの軽食やドリンクが楽しめ、ゆったりとした時間を過ごせます。


周辺観光地:縄文と現代をつなぐ八戸の旅

■ 八戸市博物館(車で15分)

八戸の歴史全般を網羅する博物館。是川縄文館とセットで訪れると、時代の流れがより深く理解できます。

■ 八食センター(車で20分)

地元の海鮮・土産が一堂に揃う市場型観光施設。新鮮な魚介や郷土料理が味わえるグルメスポット。

■ 種差海岸(車で35分)

天然芝生と太平洋が織りなす三陸復興国立公園の景勝地。縄文文化の自然観とつながるような風景が楽しめます。


アクセス方法

■ 所在地

青森県八戸市是川字横山1番地1

■ 公共交通

  • JR八戸線「本八戸駅」よりバスで約25分
     →「是川縄文館前」下車 徒歩すぐ
  • JR八戸駅からは車またはタクシーで約25分

■ 車利用

  • 東北自動車道「八戸IC」より約25分
  • 駐車場あり(無料・大型バス対応)

利用案内・注意点

■ 開館時間

9:00~17:00(最終入館16:30)

■ 休館日

  • 月曜日(祝日の場合は開館)
  • 祝日・振替休日の翌日(ただし土日祝は開館)
  • 年末年始(12月27日~1月4日)

■ 入館料(常設展)

区分一般料金団体料金(20名以上)
一般(大人)250円130円
高校・大学生150円80円
中学生以下無料無料

※市内在住の65歳以上は半額
※障がい者手帳提示で本人+同伴者1名まで半額
※キャッシュレス決済対応

■ 解説・音声ガイド

  • **音声ガイドアプリ(無料)**あり
  • **ボランティアガイド(日本語・英語)**は要事前予約(来館1週間前まで)

まとめ:縄文の知恵と美に出会える“静かな感動”

是川縄文館は、単なる博物館ではありません。人類の古代の知恵と芸術、そして自然との共生というメッセージが詰まった空間です。国宝「合掌土偶」をはじめとする展示はもちろん、わかりやすい解説や体験型コンテンツが充実しており、子どもから大人まで楽しめる知的観光地となっています。

八戸観光の際は、ぜひこの「静かな感動」を味わいに、是川縄文館を訪れてみてはいかがでしょうか。
縄文人の“いのちのかたち”が、今の私たちに語りかけてくることでしょう。


※最新情報や特別展の開催については、是川縄文館の公式サイトをご確認ください。