― 源泉湧き流しの奇跡を体感する秘湯・蔦温泉の魅力

青森県十和田市の山間部、ブナ林に包まれた静かな温泉地にある「蔦温泉(つたおんせん)」。全国でも希少な“源泉湧き流し”という湯の形態を守り続けるこの温泉は、湯船の底から湧き出る生まれたての湯に直接身を浸すという、他にない温泉体験ができる場所です。

古来より湯治場として愛され、今なお手つかずの自然と静けさに守られた蔦温泉は、都会の喧騒から離れ、心と身体を芯から癒したい人にとってまさに理想郷。この記事では、蔦温泉の歴史・泉質・日帰り利用情報・アクセス方法・周辺観光まで、じっくりご紹介します。


施設概要:湯と森がつながる、温泉宿「蔦温泉旅館」

蔦温泉は、十和田八幡平国立公園内の森の中にたたずむ「蔦温泉旅館」によって守られている一軒宿温泉です。創業は明治時代とされ、古くから湯治客に親しまれてきました。

建物は重厚な木造建築で、内装にも木のぬくもりが感じられる落ち着いた雰囲気。近くには蔦七沼と呼ばれる原生沼群が点在し、宿泊者はブナ林に囲まれた自然散策と温泉をセットで楽しむことができます。


泉質・源泉情報:全国でも珍しい「浴底湧出」方式

蔦温泉の最大の魅力は、何といっても浴槽の底板から源泉が自然に湧き出す「浴底湧出(ゆていゆうしゅつ)」方式にあります。

■ 泉質の詳細

  • 泉質名:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉
  • 泉温:45.4度(源泉)
  • pH値:中性
  • 分類:低張性中性高温泉
  • 湧出形態:自家源泉(自然自噴)・非加熱・非循環

この温泉は、湯舟の底から直接湧く“空気に触れないままの源泉”にそのまま入浴できるという、非常に希少なスタイルです。源泉の新鮮さ・透明度・肌触りは格別で、まさに“湯と一体になる”感覚が味わえます。

■ 効能(適応症)

神経痛、リウマチ、関節炎、冷え性、慢性皮膚病、疲労回復などに効果があるとされます。
※一般的禁忌症(急性疾患、出血性疾患など)に該当する方はご注意ください。


日帰り入浴情報:限られた時間で味わう特別な湯

蔦温泉旅館では、日帰り入浴にも対応していますが、時間・受付枠に限りがあるため、訪問前の確認がおすすめです。

■ 営業時間

  • 10:00 ~ 15:00(最終受付14:30)

■ 料金(税込)

区分料金
大人1,000円
小人(小学生)500円

※タオル(250円)・バスタオル(貸出し500円)も用意あり

■ 浴室

  • 男女別の大浴場「久安の湯」「泉響の湯」
  • 湯船の底板から湧き出る本物の源泉を体感できる

※混雑状況やメンテナンスにより利用制限がある場合があります。


アクセス方法:奥入瀬や十和田湖からの周遊にも便利

■ 所在地

青森県十和田市奥瀬蔦野湯1

■ 公共交通でのアクセス

  • 【JR八戸駅】から車で約1時間30分(JRバス十和田湖線/焼山または蔦温泉下車)
  • 【青森駅】から車で約2時間(レンタカー推奨)
  • 【三沢空港】から車で約1時間

※公共交通機関の本数は限られているため、レンタカーやタクシーの併用が便利です。

■ 車利用

  • 東北自動車道「小坂IC」または「十和田IC」から約40〜60分
  • 無料駐車場あり(乗用車・バス対応)

周辺観光地:温泉+自然で心も満たされる滞在

■ 奥入瀬渓流(車で15分)

日本屈指の美しい渓谷。滝や清流、ブナ林を歩きながら自然の芸術を堪能できます。

■ 十和田湖(車で30分)

遊覧船や湖畔の散策が楽しめる、青森・秋田県境の人気観光地。紅葉シーズンは特におすすめです。

■ 蔦七沼(徒歩圏内)

蔦温泉旅館の周囲に点在する七つの原生沼。ブナ林に囲まれた遊歩道は、四季を感じながらゆったりと歩ける癒しの空間。


注意点と旅のヒント

  • 湯温が高めのため、長湯を避けて休憩を取りながらの入浴をおすすめします。
  • 冬季は積雪が多いため、スタッドレスタイヤやチェーン装備が必須です。
  • 予約なしでの入浴は混雑状況によって制限される場合もあるため、事前連絡推奨。

まとめ:1000年の時を超えて湧き続ける、蔦温泉の奇跡

蔦温泉は、温泉という言葉が本来持つ“癒し”の意味を、最も純粋な形で体感できる場所です。源泉の上に身を浸すという、現代では極めて希少な入浴体験は、訪れた人の心と身体を深く癒してくれます。

都会の喧騒を離れ、静けさの中で自分自身と向き合う時間を過ごしたいとき――
ぜひ、青森の森の奥に湧き続ける蔦温泉を訪れてみてください。そこには、湯と自然が語りかけてくるような、特別な時間が待っています。


🔗 公式サイト: https://tsutaonsen.com