岩手県北部・二戸市に位置する「金田一温泉(きんたいちおんせん)」は、静かな山あいにたたずむ歴史ある湯処。かつて南部藩の湯治場として栄えたこの温泉地は、“座敷わらし”の伝承が残ることでも全国的に知られています。
湯の効能に加え、神秘的な雰囲気や郷土料理、静寂な宿の空気が相まって、**「癒しと不思議の温泉郷」**として人気を集めています。北東北の旅に静かで奥深い一泊を加えるなら、金田一温泉はまさに理想的な目的地です。
■ 温泉地概要|城下町二戸の奥座敷に湧く名湯
金田一温泉は、岩手県二戸市の東部、馬仙峡から流れる馬淵川の上流域に位置する温泉地です。温泉街は、こぢんまりとした10軒ほどの旅館やホテル、日帰り温泉施設、飲食店が点在する静かな地域に形成されています。
- 泉源数:約5カ所
- 宿泊施設数:10軒前後(旅館・民宿・ホテル含む)
- 日帰り入浴施設あり
- 名物:短角牛料理、せんべい汁、座敷わらし伝説の宿(緑風荘)
観光地としては派手さはありませんが、落ち着いた雰囲気と湯治文化の伝統が色濃く残る、北東北らしい温泉郷です。
■ 歴史|藩政時代から続く「湯治場」と神秘の伝承
金田一温泉の歴史は古く、江戸時代にはすでに南部藩の湯治場として使われていたとされます。当時は馬での移動の休憩地としても利用され、湯治と宿場の機能を併せ持つ場所でした。
そしてこの温泉が全国的に知られるきっかけとなったのが、「座敷わらし伝説」。とある旅館「緑風荘」に宿泊した人々の間で、“幸運を呼ぶ子どもの霊”の目撃談が広まり、一躍スピリチュアルな人気温泉地として注目されるようになりました。現在も多くの人が“わらし詣”として宿を訪れ、金田一の文化と信仰が静かに息づいています。
■ 泉質と効能|ぬるめの単純泉で長湯向きのやさしい湯
金田一温泉の湯は、無色透明・無臭で肌にやさしい「単純温泉(低張性弱アルカリ性)」が中心。ややぬるめの湯が多く、湯治や長時間の入浴に適した泉質です。
- 泉質:単純温泉(アルカリ性)
- 源泉温度:40~43℃前後(施設により異なる)
- 効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、慢性消化器病、疲労回復、冷え性、美肌効果
身体への刺激が少ないため、子どもから高齢者まで幅広く安心して入浴できるのも特徴。数日滞在してのんびりと湯治を楽しむスタイルにも適しています。
■ 日帰り温泉施設|気軽に立ち寄れる癒しの湯処
金田一温泉郷には、日帰り入浴可能な施設がいくつかあり、観光の合間にも立ち寄りやすい点が魅力です。
● おぼない旅館(日帰り入浴可)
かけ流しの温泉と地元料理が魅力。風情ある木造旅館で、座敷わらしにまつわる展示スペースも。
- 利用時間:10:00~17:00
- 入浴料:大人500円程度
● ゆったりランド金田一(公衆浴場)
地元の人にも人気の大浴場。サウナや露天風呂も併設されており、設備が充実。
- 利用時間:14:00~22:00
- 入浴料:大人700円/小学生700円
※季節や設備点検によって営業時間が変更される場合があるため、事前確認がおすすめです。
■ 周辺観光地|一緒に巡りたい二戸の名所
● 馬仙峡(車で約10分)
高さ200mの断崖にそびえる「男神岩・女神岩」が印象的な渓谷。四季折々の自然景観を楽しめます。
● 二戸市シビックセンター(車で約15分)
福田繁雄デザイン館や田中舘愛橘記念科学館を併設。芸術と科学に触れる知的観光に最適。
● カシオペアメッセ・なにゃーと(二戸駅直結)
観光案内所と物産センターを備えた観光拠点。お土産購入や郷土料理の試食にもおすすめ。
■ アクセス方法|鉄道・車どちらでも便利な好立地
【電車】
- JR東北新幹線「二戸駅」下車→タクシーまたはバスで約15分
【車】
- 八戸自動車道「一戸IC」または「九戸IC」から車で約20分
- 温泉街内に無料駐車場あり(宿泊施設利用者向け)
■ まとめ|静かに、そして不思議に癒される東北の隠れ湯
金田一温泉は、派手な観光アトラクションはありませんが、“湯治場”としての歴史・信仰・やさしい泉質・郷土文化がしっかりと根づいた、まさに“東北の奥座敷”と呼ぶにふさわしい温泉地です。
都会の喧騒を離れ、静かな空間で自分と向き合う時間を過ごしたい方、スピリチュアルな体験に興味のある方にとって、金田一温泉は最適な場所です。**湯に浸かり、伝説に触れ、心と身体を整える――**そんな旅を求めているなら、ぜひ金田一温泉へ。