施設概要|宮沢賢治も愛した歴史ある湯宿
岩手県花巻市の山あいにひっそりと佇む「鉛温泉 藤三旅館」は、開湯600年を超える歴史を持つ老舗旅館です。豊沢川沿いに建てられた木造3階建ての本館は、風情ある佇まいで訪れる人々を温かく迎えてくれます。
この旅館は、宮沢賢治が生前訪れたことでも知られており、その静謐で幻想的な雰囲気は、まさに文学の舞台にふさわしい趣。周囲を囲む原生林や山の緑、川のせせらぎが、心と身体に深い癒しをもたらします。
藤三旅館の魅力は、何といっても日本一深い天然岩風呂「白猿の湯」をはじめとした、個性豊かな4つの温泉。館内のどこにいても、湯の香と木の温もりが感じられる贅沢な空間が広がっています。
泉質|加水・加熱・循環一切なしの源泉かけ流し
藤三旅館の湯は、単純温泉・アルカリ性単純高温泉で、泉温は約57度。無色透明でクセが少なく、肌あたりのやわらかい泉質が特徴です。
泉質データ(2025年8月時点):
- 泉質:単純温泉・アルカリ性単純高温泉
- 泉温:約57℃(源泉)
- pH:およそ8.5〜9.0(弱アルカリ性)
効能としては、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、冷え性、慢性消化器病、疲労回復、健康増進など、幅広い症状に適応。特に肌への刺激が少ないため、敏感肌や小さなお子様にも安心して利用できます。
また、加水・加熱・循環・消毒を一切行わない、100%天然の源泉かけ流しという点が、温泉通からも高く評価されています。湧き出たままの天然の湯にそのまま浸かれるという贅沢は、まさに本物の温泉体験と言えるでしょう。
見どころ|名物「白猿の湯」と個性豊かな4つの浴場
藤三旅館には、4つの浴場がありますが、中でも最も有名なのが「白猿(はくえん)の湯」。一度訪れたら忘れられないほどのインパクトを持つこの浴場は、天然の岩をくり抜いて作られた日本一深い自噴天然岩風呂で、深さは約1.25メートル。まるでプールのような深さの湯船に立ったまま入浴するという特異な体験ができます。
浴場の種類:
- 白猿の湯(混浴・女性専用時間あり):日本一深い立ち湯の岩風呂
- 桂の湯(男女別):木造の内湯。ゆったりした空間でのんびり
- 瀬音の湯(貸切風呂):家族やカップルに人気の貸切露天風呂
- 銀の湯(男女別):川沿いにある開放的な露天風呂
特に白猿の湯は、室内の灯りを最小限に抑えた幻想的な空間で、まるで洞窟の中で湯治をしているかのような感覚が味わえます。深さがあるため、お子様の入浴は必ず保護者の付き添いが必要です。
なお、白猿の湯は通常混浴ですが、女性専用時間が毎日設定されていますので、混浴が気になる方でも安心して楽しめます。
日帰り入浴情報|気軽に名湯を体験できるチャンス
宿泊はもちろん、日帰り入浴でも藤三旅館の魅力を堪能できます。温泉だけを楽しみたい方に向けたプランもあり、気軽に秘湯の恵みを体験できます。
2025年8月時点の利用情報:
- 営業時間:10:00〜21:00(最終受付 20:00)
- 料金(通常期):
- 大人:800円
- 子ども(小学生以下):600円
- 料金(繁忙期:GW・お盆・年末年始):
- 大人:1,100円
- 子ども:900円
※混雑状況により入場制限を行う場合があります。事前確認をおすすめします。
タオルのレンタルやシャンプー・ボディソープ完備なので、手ぶらでもOK。豊沢川を望むロビーでのんびり過ごすのもおすすめです。
アクセス方法|花巻南温泉峡の奥、自然豊かな立地
鉛温泉 藤三旅館は、花巻温泉郷の中でも最奥に位置する温泉地「鉛温泉」にあります。車・公共交通機関どちらでもアクセスが可能です。
車でのアクセス
- 東北自動車道 花巻南ICより約20分(約15km)
- 花巻市街から国道283号線→県道12号線を経由
- 無料駐車場あり(普通車・大型バス対応)
電車・バスでのアクセス
- JR新花巻駅または花巻駅より路線バス利用(約35分)
- 「鉛温泉」バス停下車すぐ
- ※一部時間帯では送迎バス(要予約)も運行
周辺は山深いエリアで、特に冬季は積雪・凍結による通行制限が出ることもあるため、天候に応じた準備が必要です。
周辺観光地|自然と文化に触れる花巻旅の拠点に
鉛温泉 藤三旅館は、花巻エリアの観光スポットにもアクセスが良く、以下のような場所と併せて楽しむことができます。
- 宮沢賢治記念館・童話村(車で約30分)
- 花巻温泉バラ園(車で約20分)
- 早池峰神社・岳(だけ)集落(歴史ある修験道の拠点)
- 花巻南温泉峡の他の温泉(大沢温泉、志戸平温泉など)
歴史や文学、自然など様々なテーマに触れられるスポットが揃っており、1泊2日の温泉旅行にもぴったりなエリアです。
まとめ|秘湯の名宿で、時を忘れる湯治体験を
「鉛温泉 藤三旅館」は、日々の喧騒を離れて本物の温泉に身を委ねる、**「癒しの原点」**のような場所です。源泉かけ流しの湯、歴史ある木造建築、日本一深い岩風呂という三拍子が揃ったこの旅館は、温泉ファンなら一度は訪れておきたい名湯のひとつ。
日帰りでも、宿泊でも、訪れるたびに新たな魅力が見つかる鉛温泉 藤三旅館。2025年の岩手・花巻旅行の計画に、ぜひ加えてみてはいかがでしょうか。