観光地概要

玉川温泉自然研究路(たまがわおんせんしぜんけんきゅうろ)は、秋田県仙北市にある十和田八幡平国立公園の一角に位置する全長約2キロメートルの散策路です。日本一の強酸性泉として知られる玉川温泉の源泉地帯を歩きながら、噴気孔や熱湯の湧出口、岩盤浴で有名な地熱地帯を間近に観察できる人気スポットとなっています。

整備された木道や遊歩道を利用して約40〜60分で一周できるコースは、観光客だけでなく研究者や自然愛好家にも注目されており、地球のエネルギーを肌で感じられる場所として高い評価を受けています。温泉宿や湯治施設に隣接しているため、散策後に温泉に浸かりながら自然の恵みを満喫できるのも大きな魅力です。

2025年9月現在も、玉川温泉を訪れる人々にとって欠かせない体験型観光地として、多くの旅行者が足を運んでいます。

歴史

玉川温泉は古くから「大噴(おおぶけ)」と呼ばれ、地元の人々にとって畏怖と信仰の対象でした。江戸時代には秋田藩の管理下で硫黄採掘が行われ、鉱山資源としても利用されてきました。

明治時代に入ると湯治文化が発展し、全国から病を癒す目的で人々が集まる場所となりました。特に強酸性の泉質は「万病に効く」と言われ、現在でも湯治客が多く訪れています。自然研究路はこうした温泉地の歴史と火山活動を一体的に理解するためのルートとして整備され、観光と学術研究の両立を目的とした施設となっています。

見どころ

噴気孔と熱湯湧出口

研究路の最大の特徴は、至るところから噴き上がる蒸気と熱湯です。地面から轟音を立てて湯気が吹き出す様子は迫力満点で、温泉地ならではの光景が広がります。湧出口の温度は摂氏98度にも達する場所があり、火山活動のエネルギーを実感できます。

岩盤浴エリア

玉川温泉名物の「岩盤浴」は、自然の地熱で温められた岩盤の上に寝転び、体を温める湯治法です。研究路内には岩盤浴エリアが点在しており、現在でも観光客や湯治客がシートを敷いて横たわり、地熱の恵みを享受しています。

強酸性泉の流れる川

散策路沿いには強酸性の温泉水が流れる川があり、酸性度はpH1.2と日本一のレベル。白濁した水流や硫黄の結晶が川沿いに広がり、他では見られない独特の景観を楽しめます。

四季折々の自然と火山景観

春は新緑、夏は高山植物、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節ごとに異なる風景を楽しめます。特に紅葉シーズンには、湯気立ち昇る荒涼とした火山地帯と色鮮やかな紅葉のコントラストが見事です。

周辺観光地

八幡平アスピーテライン

玉川温泉から車で30分ほどで行ける山岳道路。春の雪の回廊や秋の紅葉は特に人気が高く、ドライブ観光の定番コースです。

八幡平大沼

木道で一周できる湖で、自然散策や高原植物の観察が楽しめます。大沼の湖面に映る山々の風景は絶景スポットとして知られています。

後生掛温泉・自然研究路

泥火山や噴気孔を観察できる遊歩道。玉川温泉と並ぶ八幡平エリアの火山観光スポットとして人気です。

乳頭温泉郷

玉川温泉から車で約1時間。秘湯ファンに人気の温泉郷で、茅葺き屋根の宿や混浴風呂など、昔ながらの温泉文化を体験できます。

アクセス方法

  • 車:東北自動車道「盛岡IC」から国道341号経由で約2時間。秋田市からは約2時間30分。
  • 公共交通機関:JR田沢湖駅から羽後交通バス「玉川温泉行き」で約1時間20分。終点「玉川温泉」で下車、徒歩すぐで研究路入口。
  • 駐車場:玉川温泉駐車場あり(普通車約200台、無料)。

注意点

  • 冬季(11月上旬〜4月下旬)は積雪のため閉鎖されます。訪問は開通期間を確認してから計画しましょう。
  • 強酸性泉や噴気孔周辺は危険が伴うため、木道や遊歩道から外れないことが重要です。
  • 硫黄ガスが発生しているため、呼吸器系に不安のある方や小さなお子様は長時間の滞在を避けるのが無難です。
  • 岩盤浴を体験する場合は専用のマットや敷物を持参すると快適に過ごせます。

まとめ

玉川温泉自然研究路は、強酸性泉や地熱活動を間近で観察できる、日本でも貴重な観光スポットです。迫力ある噴気孔や岩盤浴エリア、酸性川など火山活動の生み出す景観が広がり、自然の力を体感できる場所として人気があります。

さらに周辺にはアスピーテラインや八幡平大沼、乳頭温泉郷などの観光地も多く、組み合わせて訪れることでより充実した旅を楽しめます。火山と温泉文化を一度に体感できる玉川温泉自然研究路。秋田県を訪れる際には必ず立ち寄りたいスポットです。

補足

  • 所在地:秋田県仙北市田沢湖玉川
  • 開放期間:例年4月下旬〜11月上旬(冬季閉鎖あり)
  • 入場料:無料
  • 駐車場:普通車約200台(無料)
  • 所要時間:散策約40〜60分