北海道のほぼ中央に位置する上富良野町。その奥深い山間部にひっそりと佇む「十勝岳温泉郷」は、標高1,280mという日本有数の高地にある秘湯のひとつです。眼下に広がる大自然の絶景と、硫黄の香り漂う本格的な温泉は、観光客だけでなく登山者や湯治客にも愛されています。

今回は、十勝岳温泉郷の魅力を、泉質・歴史・周辺観光・アクセスまで幅広くご紹介。自然と温泉が織りなす贅沢なひとときを体感してみませんか?


温泉地概要|北海道の空に近い癒しの湯

十勝岳温泉郷は、十勝岳連峰の中腹に位置し、上富良野町から山道を車で約30分上った場所にあります。複数の宿泊施設や日帰り入浴施設が点在し、いずれも眼下に大パノラマを望む絶景風呂が自慢です。

晴れた日には、富良野盆地や大雪山系が一望でき、標高が高いため夏でも涼しく、登山や避暑地としても人気です。さらに、紅葉や雪景色といった季節の移ろいも美しく、年間を通して多くの観光客が訪れます。


歴史|火山とともに歩む温泉文化

十勝岳温泉の歴史は、1915年に開湯した「凌雲閣」に始まります。開湯当初は登山者向けの簡素な山小屋でしたが、十勝岳の火山活動や登山ブームとともに整備が進み、現在では複数の温泉宿が営業しています。

火山帯に位置するため、地熱活動が活発で泉源が豊富。周辺は「十勝岳ジオパーク」にも指定されており、温泉地自体が自然のダイナミズムを体感できる貴重な存在となっています。


泉質と効能|強酸性の硫黄泉が体と心に効く

十勝岳温泉の泉質は、主に以下の通りです。

  • 泉質:酸性・含硫黄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉
  • pH値:2.4前後(強酸性)
  • 温度:約45〜60℃(源泉)
  • :乳白色〜透明(泉源により異なる)

この泉質は、特に以下の効能が期待されます:

  • 皮膚疾患(アトピー・慢性皮膚病)
  • 神経痛・筋肉痛・関節痛
  • 疲労回復・冷え性の改善

強酸性の湯は殺菌作用が高く、“肌に効く温泉”としても知られています。湯上がりは肌がすべすべになり、「美肌の湯」としてリピーターも多く訪れています。


日帰り温泉施設|登山者も気軽に立ち寄れる名湯

十勝岳温泉 凌雲閣

北海道で最も高地にある温泉宿。展望露天風呂からの眺望は圧巻で、富良野盆地や大雪山系を一望できます。

  • 日帰り入浴時間:8:00〜19:00(最終受付18:30)
  • 料金:大人1,000円、小人500円
  • 泉質:酸性泉(100%源泉かけ流し)

カミホロ荘

北海道・上富良野町の奥地、標高1,200mの山間に佇む秘湯「十勝岳温泉 カミホロ荘」。十勝岳連峰の雄大な景色に抱かれながら、源泉かけ流しの天然温泉を心ゆくまで楽しめる山の宿
日帰り温泉は現在休止中とのことです。
カミホロ荘の特集記事はこちら

※いずれの施設も冬季は積雪・通行規制の影響を受けるため、事前確認をおすすめします。


周辺観光地|大自然と一体になる旅へ

● 十勝岳望岳台(ぼうがくだい)

温泉郷からさらに上に進んだ場所にある絶景展望スポット。活火山・十勝岳の荒々しい山肌を間近で観察でき、登山の起点にもなっています。

● 美瑛・青い池(車で約40分)

美瑛町の名所で、コバルトブルーの幻想的な池がSNSで人気に。温泉の帰り道にも立ち寄りやすいスポットです。

● ファーム富田(車で約40分)

ラベンダー畑の絶景と、富良野の香りが楽しめる観光農園。6〜7月は特におすすめ。


アクセス方法|車・レンタカーが基本

● 所在地

北海道空知郡上富良野町十勝岳温泉

● 車でのアクセス

  • JR上富良野駅から約30分(山道を経由)
  • 富良野市中心部から約45分
  • 旭川空港から約1時間

※冬季は道路が凍結・閉鎖される場合があるため、冬タイヤと運転技術が必須。バスの運行は限られるため、レンタカーでのアクセスが最適です。


まとめ|天空に近い湯治の里で、心と体をリセット

十勝岳温泉郷は、「大自然の中で心身ともにリフレッシュできる癒しの空間」です。高地ならではの澄んだ空気と絶景、そして効能豊かな硫黄泉。観光地としての利便性と、秘湯らしい静けさが共存しており、喧騒を離れて自分自身を見つめ直す時間を持つには最適な場所です。

富良野・美瑛を訪れた際は、ぜひ十勝岳温泉郷まで足を延ばしてみてください。そこには、一度入ったら忘れられない“天空の湯”が待っています。