観光地概要

秋田県北秋田市森吉エリアに位置する「太平湖(たいへいこ)」は、森吉山麓に広がる人工湖で、奥森吉の大自然に抱かれた美しい湖として知られています。エメラルドグリーンの湖面と周囲を取り囲む原生林が四季折々の表情を見せ、特に秋には紅葉の名所として多くの観光客が訪れます。

この太平湖では、2025年(令和7年)から新たに「太平湖小又峡シャトルタクシー船」が運航を開始。従来の遊覧船「森吉丸」に代わって、小型船舶による少人数制のクルーズが楽しめるようになりました。

このシャトルタクシー船は、太平湖の観光拠点「太平湖グリーンハウス」から徒歩約7分の「北清水桟橋」より出航し、神秘の渓谷「小又峡(こまたきょう)」まで約10分の水上旅を楽しむことができます。湖上から望む森吉山の雄大な姿、静寂に包まれた湖面の美しさ、そして船が進むたびに広がる自然のパノラマは、訪れる人々を非日常の世界へと誘います。

太平湖と小又峡は、まさに「秋田の秘境」。静けさと迫力が同居するこのエリアでは、自然と一体になるような体験が待っています。

歴史

太平湖は、昭和28年(1953年)に完成した森吉ダムの建設によってできた人造湖です。ダム湖として誕生した当初は発電・治水を目的として造られましたが、その風光明媚な景観が注目され、次第に観光地としても知られるようになりました。

湖の周辺には、かつて森吉山の修験者たちが歩いた古道が残され、山岳信仰の舞台としての歴史もあります。森吉山自体が「秋田の奥入瀬」とも称される豊かな自然を誇るエリアで、滝や渓流、ブナ林などが連なっています。

太平湖から奥に進むと現れる「小又峡」は、太古の火山活動と浸食によって生まれた渓谷で、透明度の高い清流と数々の滝が見どころ。特に「三階滝」は小又峡の象徴的存在で、三段に分かれて流れ落ちる様子が美しく、古くから地元では“天女の滝”とも呼ばれています。

遊覧船による観光が始まったのは昭和40年代。当時は「森吉丸」が観光客を小又峡まで案内し、夏から秋にかけて多くの人々が訪れる人気の観光ルートとなりました。そして2025年、新時代の船旅として「太平湖小又峡シャトルタクシー船」が就航。より環境に優しく、機動的な運航体制へと進化を遂げています。

見どころ

1. 湖上から眺める原生の森と紅葉の絶景

太平湖の魅力の最大のポイントは、湖面から望む原生林の美しさです。森吉山系のブナやミズナラ、カエデが織りなす色彩は季節ごとに変化し、特に秋(10月中旬~下旬)の紅葉シーズンには湖全体が赤や黄に染まります。

朝霧が立ち込める早朝には、幻想的な景色が湖面に映り込み、まるで絵画のよう。船上から見上げると、迫りくるような森の迫力を間近に感じられます。

2. シャトルタクシー船で行く「小又峡探勝」

「太平湖小又峡シャトルタクシー船」は、北清水桟橋から小又峡桟橋までの約10分を結ぶ小型船。風を切って進む爽快なクルーズは、遊覧船「森吉丸」時代とはまた違った臨場感があります。

船を降りた後は、小又峡のトレッキングが楽しめます。桟橋から三階滝までは片道約1.8km、徒歩で約45分。途中には清流にかかる木橋や岩壁を伝う道があり、マイナスイオンに包まれながら自然を満喫できます。

三階滝は、小又峡のハイライト。三段に分かれて落ちる滝の姿は圧倒的で、水飛沫が陽光に照らされると虹がかかることもあります。秋には紅葉とのコントラストが息を呑む美しさです。

3. グリーンハウスと湖畔の自然散策

太平湖の観光拠点となる「太平湖グリーンハウス」では、乗船チケットの販売をはじめ、休憩・飲食・お土産購入が可能です。周囲には遊歩道が整備されており、湖畔を散策しながら野鳥観察や写真撮影を楽しむ人も多いです。

また、近年ではSUP(スタンドアップパドル)やカヌーなど、アクティビティ体験も行われており、湖上を自由に楽しむ観光客の姿も増えています。

4. 四季の表情が豊かな自然美

春は新緑、夏は深い緑陰、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季それぞれに違う表情を見せる太平湖。特に秋は、湖上クルーズと紅葉狩りのベストシーズンとして人気です。

10月中旬〜下旬には、周辺一帯が黄金色に染まり、湖面に映る紅葉がまるで万華鏡のように輝きます。カメラ愛好家にも人気の撮影スポットです。

周辺観光地

森吉山 阿仁スキー場(車で約40分)

冬はパウダースノーが魅力のスキー場。夏にはゴンドラで標高1,000mの展望台まで登ることができ、太平湖や白神山地まで見渡す絶景が広がります。

森吉山野生鳥獣センター(車で約30分)

森吉山周辺の動植物やエゾシカ、クマ、イヌワシなどの生態を紹介する学習施設。自然観察にもおすすめです。

打当温泉「マタギの湯」(車で約45分)

マタギ文化が色濃く残る温泉施設。登山やクルーズ後に立ち寄れば、疲れを癒しながら秋田らしい山里文化にも触れられます。

阿仁前田温泉「クウィンス森吉」(車で約50分)

天然温泉と地元食材を活かした料理が楽しめる人気の温泉宿。宿泊拠点としても便利です。

アクセス方法

  • 所在地:秋田県北秋田市森吉字太平湖
  • :秋田自動車道「鷹巣IC」から国道105号経由で約60分
  • 鉄道・バス
     JR奥羽本線「鷹巣駅」下車 → 秋北バス「森吉山登山口」行き → 「太平湖入口」下車、徒歩約20分
  • 駐車場:太平湖グリーンハウス周辺に無料駐車場あり(約50台)

注意点

  • 運航期間は**令和7年8月9日(土)~10月31日(金)**まで。平日は運休日があるため、事前に運航カレンダーを確認しましょう。
  • 船は随時運航で定時発ではありません。天候や人数によって出航が調整されます。
  • 湖周辺は標高が高く、朝晩は冷え込みます。防寒具を持参するのがおすすめ。
  • 小又峡トレッキングコースはぬかるみが多い箇所もあるため、滑りにくい靴を着用。
  • 携帯電話の電波が届きにくい場所もあるため、事前の連絡・準備を忘れずに。

まとめ

太平湖は、森吉山の豊かな自然に抱かれた秋田屈指の秘境。新しく生まれ変わった「太平湖小又峡シャトルタクシー船」によって、より快適かつ臨場感あふれる湖上の旅が楽しめるようになりました。

水と森と滝が織りなす絶景は、まさに秋田の原風景。小又峡へのトレッキングを含めれば、1日を通して自然の息吹を感じることができます。

紅葉シーズンは特に人気が高く、湖面に映る赤や黄金色の世界は息を呑む美しさ。太平湖を訪れることは、秋田の自然と静けさを全身で感じる贅沢な時間になるでしょう。

補足

  • 運航期間:令和7年8月9日(土)~10月31日(金)
  • 湖水開き:令和7年8月8日(金)
  • 運航形態:随時運航(定時運航なし)
  • 乗船料金:大人3,000円、小人1,000円
  • 乗船時間:北清水桟橋~小又峡桟橋 約10分
  • トレッキング:小又峡桟橋~三階滝 約1.8km(徒歩約45分)
  • チケット販売:太平湖グリーンハウス
  • 徒歩ルート:グリーンハウス~北清水桟橋 約7分(帰りは登り坂で約15分)
  • 駐車場:無料(普通車50台)