観光地概要
思い出の潟分校(おもいでのかたぶんこう)は、秋田県仙北市田沢湖町にある木造校舎で、昭和時代の小学校をそのまま残した貴重な観光施設です。正式名称は「旧田沢湖町立生保内小学校潟分校」で、かつて地域の子どもたちが学び、笑い、駆け回った学び舎として知られています。現在は「思い出の潟分校」として一般公開され、懐かしい昭和の学校文化や地域の歴史を体感できる場所として人気を集めています。
校舎は田沢湖の湖畔近くに建ち、背景には田沢湖高原の自然が広がるロケーション。校舎内には木製の机や黒板、教科書、当時の卒業写真などがそのまま展示されており、訪れる人々がまるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
2025年11月現在も、昭和の記憶を残す地域遺産として多くの観光客や写真愛好家、映画ファンに人気のスポットです。撮影地としてもたびたび使用され、「懐かしい風景に出会える場所」として全国的に知られています。
歴史
潟分校は、1957年(昭和32年)に田沢湖町立生保内小学校の分校として設立されました。当時は田沢湖畔の集落に住む子どもたちが通いやすいようにと開設され、地域の学び舎として長年にわたり親しまれてきました。
しかし、少子化の波とともに児童数は減少。1985年(昭和60年)に惜しまれつつ閉校となり、約30年の歴史に幕を下ろしました。その後、地元住民の手によって保存活動が続けられ、2003年に「思い出の潟分校」として再スタート。廃校ではなく、“思い出を紡ぐ場所”として再生を遂げました。
現在では、建物そのものが文化的価値を認められ、地域の観光資源として活用されています。校舎内には地域の教育史や暮らしを伝える展示物が整備され、昭和の日本が息づく「体験型の郷土資料館」として訪れる人々を温かく迎えています。
見どころ
木造校舎のぬくもり
思い出の潟分校の魅力は、何といっても懐かしさを感じさせる木造建築です。廊下は光沢を放つ木の床、窓から差し込む柔らかな光、木の香りが漂う教室――どこを見ても昭和時代そのものの雰囲気に包まれています。
教室には当時の机や椅子、黒板、ストーブ、ランドセルなどがそのまま残されており、昭和に生きた世代にとっては懐かしく、若い世代にとっては新鮮な発見となります。時間が止まったような空間の中で、ゆっくりと「昔の日本の学校」を感じることができます。
写真・映像映えするノスタルジックな空間
校舎の内部や外観は、映画やドラマ、CMのロケ地としても使われてきました。木造の廊下や黒板のある教室、田沢湖を背景にした校庭はどこを切り取っても絵になるため、写真撮影スポットとしても人気です。撮影許可を得れば、記念写真やポートレート撮影も可能です。
展示室と資料コーナー
館内には、潟分校の沿革や地域の歴史を紹介する展示室があります。かつての卒業アルバムや児童の作品、古い文房具や制服などが展示され、地域の教育文化を感じることができます。また、昭和の生活道具や民具も展示されており、当時の暮らしのリアルな姿を学ぶことができます。
田沢湖を望む立地
校舎は田沢湖のほとりに建ち、周囲には田園風景や山々が広がります。四季折々の自然とともに、春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色が美しく、どの季節に訪れても異なる趣があります。特に紅葉シーズン(10月下旬〜11月上旬)は、校舎と周囲の木々が鮮やかに染まり、まるで絵本のような情景が広がります。
イベント・体験プログラム
施設では不定期にイベントも開催され、昔遊び体験や紙芝居、クラフトづくりなどが行われます。また、修学旅行や団体見学の受け入れも可能で、教育旅行の場としても人気があります。地域住民との交流イベントも実施されており、訪れる人と地域がつながる温かい空間です。
周辺観光地
田沢湖
思い出の潟分校から車で約10分。日本一深い湖であり、湖畔には辰子像や御座石神社などの観光名所が点在します。湖の青い水面と山々の景観が美しく、ドライブコースとしても人気です。
角館武家屋敷通り
車で約30分の場所にある「みちのくの小京都」。黒板塀の武家屋敷が並び、春は桜、秋は紅葉が美しい歴史地区です。青柳家や石黒家など、江戸時代の建築美を体感できます。
抱返り渓谷
車で約40分。玉川沿いにある景勝地で、エメラルドグリーンの清流と紅葉の美しさで知られています。遊歩道「回顧の滝」までの散策もおすすめです。
乳頭温泉郷
車で約40分。全国的にも有名な秘湯の里。茅葺き屋根の宿や露天風呂が点在し、自然と温泉を同時に楽しめる人気エリアです。
アクセス方法
- 車:秋田自動車道「盛岡IC」から国道46号・341号経由で約1時間30分。田沢湖駅から約15分。
- 公共交通機関:JR田沢湖駅から羽後交通バス「思い出の潟分校前」下車(所要約25分)。
- 駐車場:無料駐車場あり(普通車約20台)。
注意点
- 毎週火曜日は休館日(祝日の場合は翌日休館)。訪問前に開館日を確認しておきましょう。
- 冬季は積雪により周辺道路が滑りやすくなるため、スタッドレスタイヤや防寒対策が必要です。
- 校舎内の展示品は繊細なため、触れないように注意が必要です。
- 写真撮影は可能ですが、三脚や商用撮影の場合は事前申請が必要です。
まとめ
思い出の潟分校は、昭和の原風景をそのまま残す「時間が止まった学校」です。木造校舎のぬくもり、当時の生活用品、そして田沢湖を背景にした美しい自然景観――そのすべてが訪れる人の心を温めてくれます。
観光というよりも「心のふるさと」を訪れるような場所であり、大人には懐かしさを、子どもには新鮮な感動を与える特別な空間です。田沢湖観光や角館観光とあわせて立ち寄れば、秋田の自然と文化をより深く体感できるでしょう。
補足
- 所在地:秋田県仙北市田沢湖潟字一の渡226
- 開館時間:9:00〜16:00(最終入館時間16:00)
- 休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)
- 観覧料:
・大人(高校生以上)個人500円/団体400円(20名以上)
・小人(小・中学生)個人300円/団体200円(20名以上)
・6歳未満 無料 - 駐車場:普通車約20台(無料)
- 所要時間:見学約40〜60分
- 開館期間:通年営業