糠平湖・タウシュベツ川橋梁(上士幌町)観光特集

北海道・十勝北部にある上士幌町(かみしほろちょう)には、時を超えて現れる「幻の橋」タウシュベツ川橋梁と、自然に囲まれた静かな湖・糠平湖(ぬかびらこ)があります。雄大な自然と、どこか懐かしい風景が広がるこのエリアは、歴史・文化・アウトドア体験を一度に味わえる、北海道でも屈指の観光スポットです。

本記事では、糠平湖とタウシュベツ川橋梁の魅力を、歴史、見どころ、アクセス、温泉情報とともに詳しくご紹介します。


糠平湖の概要:人工湖でありながら自然の楽園

糠平湖は、十勝川の上流に建設された**糠平ダム(1956年完成)**によってできた人造湖で、全長は約13km、周囲は約34kmにも及びます。周囲を原生林と山々に囲まれたこの湖は、夏は涼しく、秋は紅葉、冬は氷上を利用したレクリエーションも楽しめます。

糠平湖周辺にはキャンプ場、遊歩道、温泉、カフェなども点在しており、ゆっくりと過ごす旅に最適です。


歴史:旧国鉄士幌線の遺構が語る昭和の記憶

糠平湖とその周辺には、かつて**旧国鉄士幌線(1937年開通・1987年廃止)**が走っていました。この鉄道は、森林資源や軍需物資の輸送のために敷設されたもので、山岳地帯を縫うように数多くのコンクリートアーチ橋が建設されました。

その中でも最も有名なのが「タウシュベツ川橋梁」。糠平湖に沈むこのアーチ橋は、水位の変化によって姿を現したり、湖に沈んだりすることから「幻の橋」と呼ばれています。


見どころ:タウシュベツ川橋梁と大自然の融合

1. タウシュベツ川橋梁

  • 見頃:1月〜6月(雪原の中/水が引いた時期)
  • 構造:1937年建設、長さ約130m、高さ約10mのコンクリートアーチ橋
  • 特徴:風化が進み、橋は徐々に崩れつつあるため、見られるうちに訪れるべきスポットです。

見学には林道を通る必要があり、個人での立ち入りは原則禁止。NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターによるガイドツアーに参加するのが安全かつ確実です。

2. 糠平湖遊歩道と湖畔散策

湖畔には自然散策路が整備されており、運が良ければエゾリスや野鳥にも出会えます。秋の紅葉、冬の雪原も絶景。

3. 冬の氷上ツアー(1月〜3月)

冬になると湖が凍結し、スノーシューや雪上車でタウシュベツ川橋梁までアクセス可能になります。雪景色の中に浮かぶアーチ橋は、まさに幻想の世界です。


周辺観光地・温泉

■ 糠平温泉郷

糠平湖の南端にある温泉街で、源泉かけ流しの宿が点在。泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉で、美肌効果があると人気です。

  • 【主な宿泊施設】糠平舘観光ホテル、中村屋、ペンション森のふくろう など
  • 【日帰り入浴】可(各宿で500〜1,000円前後)

■ 三の沢橋梁・五の沢橋梁などの旧線遺構

タウシュベツ橋以外にも、旧士幌線のコンクリートアーチ橋が複数残っており、橋梁めぐりも楽しめます。写真好きにもおすすめ。

■ ナイタイ高原牧場(約30km)

展望台からの360度パノラマビューが絶景。牧場内のレストランでは、地元食材を活かしたメニューが楽しめます。


アクセス方法

■ 車でのアクセス

  • 帯広市内から:国道241号・273号経由で約1時間40分
  • 札幌市内から:道東自動車道利用で約3時間30分

■ 公共交通機関

  • JR帯広駅から上士幌町へは十勝バスで約1時間
  • 上士幌町から糠平温泉へはバスまたはタクシー(冬季は減便あり)

※レンタカーの利用が最も便利です。


注意点

  • タウシュベツ川橋梁見学はガイドツアー推奨。林道は私有地・自然保護区域にあたるため、無許可の立ち入りは禁止。
  • 冬季は気温が-20℃以下になることもあり、防寒対策は必須。
  • 熊の出没もあるため、単独行動は避け、鈴やスプレーの携行を推奨。
  • 秋〜春にかけては道路凍結や通行止めの可能性があるので、事前に道路情報を確認しましょう。

まとめ:時を超えた橋と静寂の湖に出会う

糠平湖とタウシュベツ川橋梁は、北海道でも珍しい「時間と自然が交差する風景」を楽しめる場所です。かつての鉄道の記憶をたどりながら、静かな湖畔で過ごす時間は、日常から離れた特別な体験になるでしょう。

歴史を感じる橋梁、癒しの温泉、美しい四季の景観──すべてがそろった上士幌町・糠平湖エリア。次の北海道旅行では、ぜひこの“幻の橋”に会いに行く旅を計画してみてください。