北海道・知床半島の奥深くに位置する「知床五湖(しれとこごこ)」は、原生林と神秘的な湖沼が織りなす絶景の宝庫です。ユネスコ世界自然遺産に登録されている知床エリアの中でも、特に人気の高い観光地として知られており、手つかずの自然と静寂に包まれたトレッキングが楽しめます。

この記事では、知床五湖の観光概要から歴史、見どころ、周辺の観光地、アクセス方法、注意点までを詳しく解説します。北海道旅行の計画や知床観光を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。


知床五湖とは?|手つかずの自然が残る世界遺産の秘境

知床五湖は、北海道斜里町にある**五つの小さな湖(大湖・二湖・三湖・四湖・五湖)**の総称です。標高100mほどの丘陵地に広がるこのエリアは、知床連山とオホーツク海を同時に望むことができる稀有な自然環境が魅力です。

湖畔を取り囲むように原生林が生い茂り、運が良ければエゾシカやキタキツネ、ヒグマなどの野生動物とも出会える自然の宝庫。その美しさと生態系の貴重さから、2005年にはユネスコ世界自然遺産に登録され、現在では国内外から多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。


知床五湖の歴史|自然と共生するための取り組み

知床五湖は、もともと火山活動による地形の変化によって誕生した湖群で、長い年月をかけて自然環境が形成されてきました。かつては自由に散策できる場所でしたが、観光客の増加に伴い、生態系への影響やヒグマとの遭遇が問題視されるようになりました。

そのため現在では、**季節やヒグマの出没状況に応じた「利用調整制度」**が導入されています。これにより、環境保全と観光のバランスを保ちつつ、持続可能な観光地としてのあり方が模索されています。


見どころ|3つの散策ルートで楽しむ知床五湖の自然美

知床五湖では、整備された3つの散策ルートを通じて、その魅力を存分に体感できます。目的や体力に応じてルートを選べるため、初心者から登山愛好者まで幅広く楽しめます。

1. 【高架木道】(所要時間:約40分、バリアフリー対応)

  • 距離:約1.6km(往復)
  • 期間:例年4月下旬~11月上旬
  • 特徴:ヒグマの出没に関わらず常時開放

一湖を周遊できる木道で、車椅子やベビーカーでも通行可能。知床連山と一湖を同時に望むビュースポットもあり、写真撮影にも最適です。

2. 【地上遊歩道(五湖全周コース)】(所要時間:約1時間30分)

  • 開放期間:4月下旬~10月下旬(※要登録講習)
  • 条件:5月10日〜7月31日は「ヒグマ活動期」として有料ガイドの同行が必要

五湖すべてを周るフルコース。より深く自然と一体になれる感覚が味わえますが、野生動物との距離も近いため注意が必要です。

3. 【地上遊歩道(二湖・三湖までのショートコース)】(所要時間:約50分)

  • 一部のみ地上道を楽しみたい方向け
  • 登録講習を受ければガイドなしでも入場可能(ヒグマ活動期除く)

周辺観光スポット|知床五湖とセットで訪れたい名所

◎ カムイワッカ湯の滝

知床五湖から車で15〜20分。温泉が流れる珍しい滝で、川そのものが温かく、歩いて登る「天然の足湯体験」ができます(夏季限定で開放)。

◎ 知床自然センター

知床五湖へ行く前に立ち寄りたい情報発信拠点。動植物の展示やトレッキング情報の提供、映像上映など充実した内容。トレイルやレンタル装備もあり。

◎ オシンコシンの滝

知床八景のひとつにも数えられる名瀑。車で立ち寄れるアクセスの良さが魅力で、高さ約30mから一気に流れ落ちる水の迫力は圧巻です。

◎ 知床観光船(ウトロ港)

クルーズ船で断崖や滝を海上から眺める人気アクティビティ。ヒグマやシャチなどの野生動物に出会えるチャンスも。


アクセス方法|知床五湖への行き方

● 車でのアクセス(レンタカー推奨)

  • 女満別空港 → 約2時間30分
  • 中標津空港 → 約2時間
  • 知床斜里駅 → 約1時間(国道334号→知床自然センター経由)

※駐車場あり(普通車:1回500円)

● 公共交通機関

  • JR釧網本線「知床斜里駅」下車
  • 斜里バスターミナルより「知床五湖」行きバス(4月下旬~10月中旬限定)
  • 所要:約1時間30分

※冬季は公共交通機関の運行がありません。冬季閉鎖期間中は施設へのアクセス不可。


注意点|知床五湖を安全・快適に楽しむために

◎ ヒグマ出没情報に注意

知床五湖周辺はヒグマの生息地。季節によっては遊歩道が閉鎖されることもあります。事前に公式情報や知床自然センターで確認を。

◎ 服装・装備

  • 森林の中を歩くため、長袖・長ズボン・トレッキングシューズ推奨
  • 虫よけ対策(特に夏季は蚊やブヨが多い)も必須

◎ 天候・気温の変化

  • 天候が急変することがあり、特に春や秋は気温差が激しいため、ウィンドブレーカーなどを持参すると安心です。

◎ 予約が必要な場合あり

  • 地上遊歩道利用時(5月〜7月)には、事前のレクチャー受講またはガイド予約が必須です。

まとめ|知床五湖は“北海道の原風景”と出会える場所

知床五湖は、北海道・知床の自然を象徴するような美しい風景と、生態系の息吹を肌で感じられる唯一無二の観光スポットです。整備された高架木道から気軽に自然に触れることも、地上遊歩道で奥深く歩き込むこともできる、まさに初心者から上級者まで楽しめる“自然の教室”

知床旅行に訪れるなら、ぜひ旅程に組み込みたい知床五湖。日本の大自然の力強さと繊細さを、五感で味わう貴重な体験になることでしょう。