北海道・札幌のシンボル的存在として知られる「札幌市時計台」。観光名所として多くの人が訪れる一方、「がっかり名所」と呼ばれることもある不思議な存在感を持つこの建物。しかし、実際に訪れてみると、その背景には北海道開拓と教育の歴史、そして今もなお動き続ける“本物の時”があります。
本記事では、札幌市時計台の観光概要、歴史、見どころ、周辺スポット、アクセス方法、注意点を詳しく紹介。札幌を訪れるなら一度は立ち寄るべき、“本当の価値を知る”観光地です。
観光地概要|札幌の街なかに静かに佇む、歴史のシンボル
「札幌市時計台(旧札幌農学校演武場)」は、札幌市中央区北1条西2丁目に位置する木造二階建ての歴史建築物。札幌駅や大通公園から徒歩数分というアクセスの良さから、観光の合間にふらっと立ち寄れる立地も魅力です。
赤い屋根と白い壁、そして正面中央の大きな四面時計が印象的。1881年に設置されたこの時計装置は、今なお1時間ごとに時を知らせる鐘の音を響かせており、現役の機械式塔時計としては国内最古級です。
歴史|開拓と教育の精神を今に伝える、北海道最古の公共建築
時計台の建物は、1878年(明治11年)に札幌農学校の「演武場」として建設されました。札幌農学校は、アメリカ人教師ウィリアム・スミス・クラーク博士の指導のもと設立され、日本の近代農学と開拓精神を広めた教育機関です。
もともとは武芸訓練や式典の場として建てられた演武場に、1881年にボストン製の塔時計が取り付けられ、それ以降「札幌の時計台」として市民に親しまれるようになりました。
建築様式はアメリカ風の木造建築(バルーンフレーム構造)で、北海道開拓時代の洋風建築として高い歴史的価値を持ち、1970年には国の重要文化財に指定されています。
見どころ|内部見学で知る札幌の成り立ちと“動く遺産”
● 一階展示室:札幌の開拓と教育の歴史を学ぶ
内部は有料で見学可能(大人200円)。1階の展示室では、札幌農学校の創設経緯や北海道開拓の歴史を、当時の資料や模型、パネルで学ぶことができます。ウィリアム・S・クラーク博士や、新渡戸稲造など札幌に縁のある偉人たちの紹介もあり、知的好奇心をくすぐられます。
● 二階講堂:往時の雰囲気をそのまま残す空間
二階の講堂は、当時の天井の梁(はり)や木製の床がそのまま残されており、静謐で荘厳な雰囲気。パイプオルガンが設置されており、特別イベント時にはコンサートが開かれることも。天井近くには実際に動いている時計装置の一部が展示されており、機械式の動きの音が今も響いています。
● 鐘の音
毎正時に響く「ゴーン」という音は、130年以上同じ仕組みで動き続けている時計機械によるもの。手巻き式のゼンマイ駆動で、専門職員によって定期的に整備されています。
周辺観光地|徒歩圏に札幌の主要名所が集結
札幌市時計台は、周囲に観光名所が多く、市内観光の拠点に最適です。
- 大通公園(徒歩3分):市民の憩いの場。春のライラックまつり、夏のビアガーデン、冬の雪まつり開催地として有名。
- 赤れんが庁舎(徒歩10分):重厚なレンガ造りの北海道旧本庁舎。2025年にリニューアル再公開予定。
- さっぽろテレビ塔(徒歩5分):高さ147m、展望台から市街地を一望できるランドマーク。
- 札幌駅周辺(徒歩10分):ショッピングやグルメ、北海道大学植物園へのアクセスも抜群。
アクセス方法|札幌駅・大通駅から徒歩圏
■ 所在地
札幌市中央区北1条西2丁目
■ 開館時間・料金(2025年5月現在)
- 開館時間:8:45〜17:10(最終入館16:50)
- 休館日:年始(1月1日〜3日)
- 入館料:大人 350円/高校生以下 無料
※障がい者手帳提示で無料。札幌市内在住の65歳以上は100円。
■ アクセス
- 地下鉄南北線・東西線「大通駅」から徒歩約5分
- JR「札幌駅」から徒歩約10分
- 札幌市中心部のホテルからも徒歩圏でアクセス良好
注意点|写真撮影・時間帯に注意
- 周囲に高層ビルが多いため、建物が小さく感じられることから「がっかり名所」と称されることも。ただし、背景の高層ビルを活かした撮影方法で魅力は倍増します。
- 早朝・夜間は内部見学不可。鐘の音のみ楽しみたい方は外観だけの訪問も可能。
- 雨天でも見学可能ですが、外観撮影は曇天だと印象が薄くなるため、晴れた日がベスト。
まとめ|“見て終わり”ではなく“知って味わう”札幌の原点
札幌市時計台は、決して派手な観光スポットではありません。しかし、建物が語る北海道開拓と教育の歴史、そして130年以上動き続ける“時の記憶”は、現代の私たちに多くの気づきを与えてくれます。
見た目だけではなく、その背景にある物語を知ることで、本当の価値が見えてくる場所。札幌を訪れた際には、ぜひ時計台にも足を運んでみてください。
📌 札幌市時計台公式サイト
👉 https://sapporoshi-tokeidai.jp