北海道・糠平温泉郷(上士幌町)特集ガイド
北海道十勝地方北部、上士幌町にある「糠平温泉郷(ぬかびらおんせんきょう)」。大雪山国立公園の山々に抱かれたこの温泉地は、知る人ぞ知る秘湯として、登山客や湯治客に長年愛されてきました。
今回は、そんな糠平温泉郷の魅力を、温泉地の概要・歴史・泉質・日帰り施設・周辺観光・アクセス方法などに分けてご紹介します。
温泉地概要|原生林に包まれた静寂の湯
糠平温泉郷は、上士幌町の北部に位置し、大雪山系のふもと・糠平湖畔に広がる温泉地です。標高約540mの山間にあり、周囲は手つかずの原生林に囲まれています。温泉街には大小10軒ほどの宿泊施設が並び、いずれもアットホームな雰囲気。
観光地化されすぎていない落ち着いた雰囲気が魅力で、「人混みを避けて静かに過ごしたい」「自然の中で癒されたい」という方にはぴったりの温泉地です。
歴史|旧士幌線の面影とともに歩む温泉の町
糠平温泉郷の開湯は大正時代に遡りますが、本格的な温泉街として整備されたのは、戦後間もない1950年代。当時、旧国鉄士幌線が開通しており、温泉街へのアクセスが容易になったことで登山客や湯治客が増加しました。
かつての鉄道は廃線となりましたが、橋梁跡や遺構は今も残っており、中でも「タウシュベツ川橋梁」は全国的にも有名な観光スポットとして知られています。温泉街の素朴さと、歴史の面影が同居する独特の雰囲気が、訪れる人の心を引きつけています。
泉質と効能|肌にやさしく、体の芯まで温まる
糠平温泉郷で湧く温泉の泉質は、主に以下の通りです:
- 泉質名:単純泉(弱アルカリ性)
- 温度:38~45℃
- 色・におい:無色透明・ほぼ無臭
- 肌ざわり:やわらかく、クセのない感触
◆ 効能
- 神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復
- 冷え性、リウマチ性疾患
- ストレス性疾患の緩和
- 湯治向き(長期滞在に適した泉質)
クセのない泉質のため、高齢者やお子様でも安心して入浴できるのが特徴です。また、宿によっては源泉かけ流しの湯を楽しめるところもあり、泉質へのこだわりを持つ温泉ファンからの支持も厚いです。
日帰り温泉施設|気軽に楽しめる癒しの湯
糠平温泉郷では、複数の宿泊施設が日帰り入浴を受け入れています。以下は代表的な施設です(2025年5月現在の参考情報):
■ 中村屋
- 昭和レトロな雰囲気が魅力の老舗旅館
- 自家源泉のかけ流し
- 【日帰り入浴】午前:7:30〜10:00 午後:14:00〜20:00(最終受付19:30)/大人700円
糠平温泉 中村屋の特集記事はこちら
■ ぬかびら源泉郷 湯元館
- 営業日:金・土・日・月曜日(※火・水・木曜は定休/不定休あり)
営業時間:13:00〜19:00(最終受付 18:30) - 入浴料金(税込):大人(中学生以上):1,000円 小学生:300円 幼児:無料(明記されていないため現地確認を推奨)
■ 糠平舘観光ホテル
- 食事処や土産コーナーもある温泉旅館
- 【日帰り入浴】11:30~21:00(最終受付 20:00)/大人1,000円~
※定休日・混雑時は受付停止の場合あり。事前の電話確認をおすすめします。
周辺観光地|絶景と歴史に触れる体験も
● タウシュベツ川橋梁(車で約15分)
旧士幌線のコンクリートアーチ橋。湖の水位によって見えたり沈んだりする「幻の橋」として有名。見学にはガイドツアー利用が推奨されます。
● 糠平湖
釣り・カヌー・スノーシュー体験などができる四季折々の自然スポット。湖畔には遊歩道も整備されており、散策にも最適。
● ナイタイ高原牧場(車で約40分)
標高800mにある絶景牧場。展望テラス「ナイタイテラス」では地元食材を使ったランチやスイーツも楽しめます。
アクセス方法|車利用が基本、公共交通はバスで代替可
■ 車でのアクセス
- 帯広市街から:約1時間40分(国道241号→273号)
- 帯広空港から:約1時間50分
- 札幌から:約4時間(道東自動車道・音更帯広IC経由)
■ 公共交通(※便数少なめ)
- JR帯広駅→十勝バス「ぬかびら源泉郷行き」乗車:約2時間
- 冬季・平日は減便されるため、時間確認が必須です
まとめ|自然と共に、静かに湯に癒される場所
糠平温泉郷は、北海道の山あいにひっそりと佇む、知る人ぞ知る癒しの温泉地です。大自然の中でゆったりと流れる時間、歴史の面影を残す風景、そして体と心を包み込む優しい温泉。観光地としての派手さはないものの、ここでしか味わえない静けさと深い癒しがあります。
登山やトレッキング、秘湯めぐり、歴史ロマンを求める旅に——。次の北海道旅行では、ぜひ「糠平温泉郷」で特別なひとときを体験してみてください。